すぐそこの山に行くのに登山届けは必要ないですよね?

急に登山な気分になったので、ちょっとそこの山に登って行ってきまーす。
登山届けは出したか?
え? そんなアルプスに行くわけじゃないs
だいぶパターン化してきたな。
登山計画、登山届けに山のレベルは関係ない!
登山に行く=登山届けだ。
雪山とかなら雪崩とかあるし、地上とは別世界だから遭難する危険を考えないと、って思いますが、そこの山なんて散歩の延長みたいなもので地上と何も変わらないですよ?
遭難の心配なんてしなくてもいいような…。
その山、こんな写真のような道はないか?

DSCF9502.JPG

・・・ありますけど。
もし、足を踏み出したところの地面が緩くなっていて崩れたら、バランス崩してそのまま谷底へ転がり落ちていくということは考えられないか?
うーん、ないとは言えないですね。
どんなに低い山でも、一歩踏み外した先に10メートルレベルの急斜面があることは珍しくない。
バランスを崩して急斜面を転がり落ちたら、そう簡単には止まれない。
止まるどころかどんどん加速する可能性もある。
うーん。なるほど。
転がり落ちている間に岩や木などに打ち付けられる可能性もある。
加速してぶつかれば骨折や捻挫の可能性もある。
急斜面を転がり落ちて、その斜面、登って戻れるのか?
転がり落ちるような急斜面を登るのはただでさえ難しい。
登山道でなければ地面が緩く、小枝やツタなども複雑に生えていて、一見歩けるように見えてもなかなか進めなかったりする。
そこに骨折や捻挫が加わればどうか。
いやでもそこで助けを待つしかなくなるわけだ。
その時点で遭難成立だ。
雪崩や過酷な環境ではないかもしれない。しかし自然の山道には違いない。
公園や遊歩道のように整備されていない山道を歩く以上、遭難の危険を考えることは何も大げさな話じゃない。
近所の山と遭難を直接結びつけようとすると大げさな気がしますけど、順番に考えていくと大げさな話じゃない気がしてきますね。
ちなみにさっきの写真は標高500メートルの山だ。
そのレベルの山でも遭難の可能性は充分あるということですね。
遭難して自分が動けないなら助けを待つことになる。
しかし山の中なら連絡しようにもできないことの方が多い。
あらかじめ探す側にどれだけの情報を与えることができるかが救助の成否を大きく変える。

登山届けって何を書けばいいの?

それが登山届けということですか。
そうだ。
自分が救助する側になったときのことを想像してみるとよくわかる。
食料の量もわからない、どんな装備で行ったのか分からないとなれば、救助のリミットタイムも測れないから「一刻も早く」という判断をせざるを得ない。
そうなるとどうなるんですか?
捜索体制を最大値で整える必要がある。
人数を多くしたり、ヘリコプターなどを同時に使うことで、広範囲かつ多角的に捜索できるので、より短時間で見つけることができる。
しかし、当然それ相応の費用が必要になる。
その費用は本人が支払わなければならない。
結局自分に返ってくるってことですね。
食料に余裕があることが分かったり、防寒対策などきちんとしていることが分かったり、数日耐えられると判断できれば、費用を抑えた捜索を考える余地も出てくる。
あとは捜索範囲の絞り込みだ。
どの山に行ったのかも分からない状況と、山が特定でき、どのルートを予定していたかが分かるのとでは雲泥の差がある。
1つの山だけでもいろんなルートがありますからね。
それをしらみつぶしに探すとなると気が遠くなりますね。
だから登山届けが重要なんだ。
近い山でも遭難する可能性は充分あること、遭難したあとに救助されるときの情報があるかないかで、その後の展開が大きく変わることがよくわかりました。
ところで、今の話で「山・ルート」「装備」を書く必要があることは分かりましたが、他にはどんなことを書けばいいんですか?
登山開始日時、下山予定日時があれば装備と行き先を考慮して、遭難者の危険度を判断するのに役立つ。
遭難日時と捜索開始日時が一致するとは限らないからな。
きちんと登山届けを受け付ける山であれば何日もタイムラグが空くようなことは少ないかもしれないが、そういう受付が初めから存在しない山も多い。
その場合は、捜索を開始した時点ですでに遭難から数日経っている可能性もある。
遭難して一日も経っていないかと3日経っているかでは大きな差がある。
そうか。自分から連絡できないとなると誰かが気付いてくれるのを待つしかないってことですもんね。
あとは自分以外の連絡先。
自分から連絡できないなら、自分に近い人、家族や友人などに協力してもらうのが救助を早める。
登山届けに書いていない情報を得られる可能性が出てきますね。
その人の性格が分かれば、どんな遭難のしかたをしたのか想像することができたり。
そうだ。
たとえば積極的な性格なら難易度の高いルートに挑戦したかもしれない、気まぐれな性格なら登山届けに書いたルートどおりに行動していないかもしれない、とかな。
そうか。書いてある情報が正解とは限らないことも考えないといけないんですね。
あとは服装の色なども大きな手がかりになる。
色が特定できれば見つけやすさは格段に違う。
山にはいろんな色がある。
遭難者の見た目の特徴が特定できていないと目に入ってくる全てのものを1つ1つ注意深く見る必要がある。
そうなるとどうしても1つあたりの注意力は低くならざるを得ない。
もし視界に入っていても見逃してしまう可能性があるということですね。
あとはエスケープルートなど、他に行く可能性があるルートも書いておきたい。
雨が降ると危険だから回り道をする可能性がある、なんとなくその時の気分で他のルートに行きたくなる可能性があるなど、どんな理由でも行く可能性があるルートは書いておきたい。
できればそのルートに行く確率や、行く条件も書いておけばより捜索時の優先度を判断するのに参考になる。

登山届けの出し方

ところで登山届けってどうやって出すんですか?
メジャーな山なら登山口にポストがある。
その場合は用紙と筆記用具も備え付けられているので、書いてそのまま投函すればいい。
しかし、できればその場で書くよりも事前に提出しておきたい。
なぜですか?
登山届けはこれまで説明してきたような「遭難したときの情報」としての役割だけでなく、「計画を確認するため」の役割もある。
落ち着いて考えられる場所で、前もって準備しておけば、その場で考えるよりもより細かく計画をたてることができる。
そして、それを見直し、ムリのない計画に練り直すこともできる。
抜けのない、余裕をもった計画はそれ自体が遭難を防ぐことにつながる。
確かに頭の中で考えてるだけでは気付かなかったのに、書き出すことで気付くことってありますね。
あとポストがない場合はどうすればいいですか?
その山を管轄している行政機関、家族や友人などもし自分が遭難したときに「この人に動いてもらいたい」という人に共有しておくことだ。
あとは日本山岳ガイド協会が運営する「登山のコンパス~山と自然ネットワーク~」ではネットからの登山届け提出を受け付けるサービスを行っている。
予定時刻に下山報告がなかった場合に、あらかじめ登録しておいた電話番号やメールアドレスへ自動的に連絡してくれるなど、ウェブならではのサービスがありがたい。
これは気軽にできていいですね。
行政とかへの連絡となると時間帯も限られるしなんかいろいろ大変そうなイメージが先行しちゃってどうしても避けてしまいがちなんですよね。

見直すことでさらに精度を上げる

登山届けは無事に帰ってくれば用済みと思いがちだが、そうじゃない。
え?
実際の結果と照らし合わせてみて、どこにどんなズレがあったか確認することで、次の計画がより精度の高いものになる。
なるほど。頭の中で考えてるだけでは出てこなかった要素が影響して、計画にズレが出たのなら、次はそれを踏まえて計画することで、ズレを減らすことができるんですね。
以上、登山届けの意味と作り方について説明してきた。
・どんな簡単な登山でも必要
・遭難したときの手がかりになる
・計画にムリがないか確認できる
このあたりをいつも考えておくことが、さらに危険を回避することにつながる。
あらかじめ危険を予測しておくことで、漠然とした不安が解消され、もっと楽しむこともできるだろう。
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