10月後半のキャンプ。昼間はまだ暖かいですが、夜は普通に寒いです。
寝袋も買い直しましたが、これがいまいち頼りなかった…。
いや、本気で寒さ対策するならコールマンの寝袋って分かってたんですよ…。
でも、大人が脇に抱えられるギリギリのサイズという大きさがどうしても受け入れられなかったんです。
冬キャンプになって服やらストーブやら寒さ対策グッズが増え、車に詰める荷物がかなり限界に来てるのに、さらにデカイ寝袋を追加というのは…。
で、大きくない、安いやつを探したところ、「気温10度でもいける」など保温性能の評価が高かった上記の中華寝袋を買ったわけですが、結果大したことなかったっていう。
いや、安さのわりにはがんばってるとは思います。
が、10度はどう考えてもムリですね…。
死ぬか死なないかで言ったら死なないとは思いますが、普通に寝れるとは言えないです。
ここからさらに寝袋を買い直すのもキツイので、補助的なアイテムを追加することにしました。
寝袋インナーとか綿入りのツナギとか考えましたが、なんかあまり効果があるように思えなかったんですよね。
着る毛布とかもそうですが、あの手のやつってなぜにあんなペラッペラなんですかね。
あれ、着てることに満足して、プラシーボ的に温かいだけなんじゃないかと。
ということでそれらをスルーしていろいろ探してると、目に止まったのが湯たんぽ。
湯たんぽと言えばレンジで温める「ゆたぽん」とか、USBで充電できるやつとかハイテクなものが最近ではむしろ一般的です。
が、キャンプでは電気が使えないので、この「THE・湯たんぽ」を選ばざるを得ません。
これがどうにも不安が尽きない…。
だって、お湯で金属を温める、ただそれだけですよ。
コップにお湯入れて放置してたら30分もすると冷めてますよね。
理屈的にそれと大して変わらないんじゃないかと思うわけですよ。
真空のタンブラーとか魔法瓶とかの断熱式ならだいぶ持ちますが、断熱したら湯たんぽの意味がないわけで。
しかもその熱で温まるってことは積極的に熱を奪っていくってことでしょ?
そんなん1時間もしたらもう使い物にならへんやないかい、と思わず関西弁にならざるを得ません。
が、
Amazonのレビューを見るとかなり好印象。
特に印象的だったのが、朝になってもまだ温かいという評価。
人によっては昼まで温かいと言ってる人も。
そんな…こんなただ金属にお湯入れただけの構造でそんなに持つもの???
テントではなく気密性の高い家だから保温性が維持できてるだけじゃないかとも思いましたが、冬キャンプで使って満足してるレビューも多いです。
まあ家だったらわざわざこんなアナログな湯たんぽじゃなくて「ゆたぽん」とかを使いますよね。
とりあえず冬キャンプでの好評価を信じて、買ってみることにしました。
そして湯たんぽが届いた週末の冬キャンプ。
10月末ですが、夜8時ぐらいからだいぶ冷え込みました。
まだ寝るには早く、焚き火を楽しみたい時間です。
上着はメリノウール、アルミシャツ、フリース、マウンテンパーカーという着ぶくれもいいところの重ね着に、ニットキャップ、ネックウオーマーでフル装備。
でもまだ寒い。
ふと、湯たんぽの存在を思い出しました。
寝るときに使うものという思い込みがありましたが、今使ってもいいじゃないかと。
石油ストーブも持ってきてたので、この上で温めます。
今回買ったマルカの湯たんぽは直火で温められるというのが売りです。
当たり前のように思いがちですが、実は直火で温められる湯たんぽはほとんどありません。
たとえばこれ。
amazonでマルカの隣にあったので適当に拾ってきたものですが、これは直火NGです。
当たり前ですが、「直火できません」なんて売上を下げるようなことをわざわざ書きません。何も書かれていないということは対応していないということです。
他にもいろいろな湯たんぽがありますが、ほとんどの商品が直火について触れていません。つまり直火NGということです。
直火で温められるかどうかは使い勝手に大きな差が出ます。
直火NGの場合、ヤカンなりポットなり別の道具でお湯を沸かし、それを湯たんぽに移さなければいけません。
まず、湯沸かしのために別の道具が必要というのが面倒です。
特にキャンプのような極力ムダな荷物は省きたい状況において、そのためだけにヤカンを持っていくというのはなかなかのストレスです。
形状的にもムダにかさばる形だし。
ヤカンじゃなくても料理用にコッヘルとか鍋とかどうせ持っていくからそれでいいだろ、と思うかもしれませんが甘いです。
まずコッヘルですが、容量が少なすぎます。
だいたい0.5~0.6リットル、せいぜい1リットルが限界でしょう。
湯たんぽの容量は2リットル~3リットルほどあります。
つまり、コッヘルだと2~6回ぐらい湯沸かしを繰り返す必要があるということです。
これ、だいぶ面倒ですよ。
実際にやってみるとわかりますが、湯沸かしってセットしたらいったんしばらく放置することが多いです。
ストーブの上にセットしたヤカンとかいつの間にか沸いてるパターン多いですよね。
料理で放置してしまうとコゲたり、仕上がりに影響出たりするので、ずっと監視するのが基本ですが、ただお湯を沸かすだけなら、ヤカンをセットしてしばらく放っておくのが基本になります。
ということは、お湯が沸いたあと、それに気付くまでしばらく空白の時間があるということです。
それが1回だったら気付いたときにそのお湯を入れて終わりなので、実質的な時間のロスはゼロです。その間の空白は湯たんぽが必要なかったから空白になったわけなので。
でも、そこから2回、3回と同じことを繰り返してみてください。
空白の時間のあとに「ああ、まだあと3回も沸かさないといけないのに、ムダな時間を作ってしまった」ってなりますから。
これが微妙なストレスになり、この小さな負の積み重ねが「湯たんぽ=面倒」となり、最終的に不便な道具と理不尽な判断をくだされてしまうのです。
だからといって一度で済みそうな大きなヤカンなどを用意するとなると、今度はそれ自体がストレスになる。
どっちにしてもストレスになるわけですね。
そして、沸かしたお湯を移すというのも微妙なストレスというか面倒が伴います。
コップにお湯を注ぐのと違って、湯たんぽに注ぐのは形状的に結構気配りが必要なのです。
まず、注ぎ口が小さい。
ヤカンならまあそれほど苦労せずいけますが、コッヘルとか鍋から移すのは至難の業です。
別途じょうごなどが必須になります。
普通キャンプでじょうごなど使わないので、またこのためだけにムダな荷物が増えるというわけです。
あと、湯たんぽって楕円形なので、テーブルの上などに置いても固定されず、ちょっと触れただけでくるくる回っちゃうんですよね。
注いでるときにちょっとあたって回転して注いでいたお湯がこぼれる、みたいなのはお約束パターンです。
回転しないように手で支えると、今度は注ぐときに微妙にハネるお湯があたって熱いっていう。
以上、だいぶ長くなりましたが、直火がNGっていうだけでこれだけ面倒なことが増えるんです。
- 湯沸かしのための道具が別途必要
- 湯沸かし道具の容量によっては数回に分けて湯沸かしが必要
- 注ぐときに注意が必要
直火OKなら、こんなことに頭を悩ませる必要は一切ないです。
水入れて、火にかけて、あとは放置。
そろそろ沸いたかなと思ったら確認して、あとはそのまま使用。
とてもスムーズですね。
注ぐときもラクです。
だって、水なら水道の蛇口から直接注げるから。
ヤカンやペットボトルから注ぐよりとても注ぎやすいです。
直火のときの注意点
直火で温める場合、注意点が1つあります。
それはフタを閉めないこと。
密閉した状態で沸騰させると、破裂する恐れがあり、非常に危険です。
あと、直火といっても焚き火での加熱はやめたほうがいいです。
加熱できることはできるんですが、ススで表面がベタベタになります。
温めたあとはそのままでは熱すぎてヤケドしてしまうので、付属の布袋にいれることになりますが、このススがついたまま入れてしまうと、袋の毛が張り付いて悲惨なことになります…。
湯沸かし時間
今回、気温10度ぐらいの夜にカセットコンロで沸かしたところ、だいたい30分ぐらいかかりました。
CB缶のため、寒さで火力がかなり落ちてたので、OD缶なら20分ぐらいでいけるかもしれません。
沸いたかどうかは音では気付きにくいですが、湯たんぽが必要なくらいの寒さであれば、湯気で分かるかと思います。
まぁ沸いたあとしばらく放置しておいてもフタさえ開けておけば水が蒸発するだけで大きな問題にはならないと思いますが…。
沸いたあとの使い方
まず、そのまま素手で持ってはいけません。
ほぼ熱湯の熱がダイレクトに伝わるのでヤケドします。
手がヤケドするだけで済めばまだいい方で、持ち上げた瞬間、熱さに驚いて思わず放り投げてしまい、まだフタを閉じてない注ぎ口から熱湯が振りまかれたり、温めてたコンロに落としたことで料理とかがガッシャーンとかなったりしたら最悪です。
手袋や鍋つかみを忘れずに装備してください。
手袋は軍手だと結構厳しく、数秒持つのが限界なので、できれば革手袋がいいです。
ただ、焚き火で薪割りをするような人でもない限り、革手袋を持っている人はあまりいないと思うので、鍋つかみがいいんじゃないかと。
100均にもあるし。
フタをしっかり締めて袋に入れればあとはカイロ感覚で使えます。
この袋がまたいい感じに熱を伝えてくれて、とても気持ちいいです。
エアコンの暖房に慣れすぎてしまって、あまりこういう形で暖を取ることはありませんが、気温10度の野外では、生命線と言っても過言ではないくらいありがたみを感じました。
暖房のように空間を温めるわけではないので、寝袋の中に入れたからと言って内部があたたまるわけではないんですが、体の一部がそれに触れてるだけでも、近い感覚になれるもんだと思いました。
低温やけどに注意
低温やけどについては湯たんぽを使おうと思った時点で耳にタコレベルで注意喚起があるので、新たえめて言わなくてもいいのかもしれませんが、注意が必要なのです。
通常のヤケドと違って、あたってるその瞬間はちょうどいい暖かさなので、気付きにくいのが厄介です。
特に湯たんぽはそのまま寝てしまうパターンが多いので、低温やけどしやすい道具だと言えます。
防ぐためには、直接肌に当てないことを心がけるのが良いかと。
一箇所に長時間当て続けないということが基本なんですが、それ気にしてたらずっと寝れなくなってしまいますからね。
保温性
そして、肝心の保温性。
冒頭で言ったように、湯たんぽって、言わばただの金属製の水筒なんですよね。
1時間もすれば冷めてしまうんじゃないのかと。
が、実際に使ってみて分かりましたが、アマゾンのレビューどおり、朝まで暖かかったです。
さすがに、最初の熱さに比べれば、半分ぐらいまで弱まってはいますが、それでも使い捨てカイロぐらいの熱は残っているので、まだ充分暖は取れます。
こんなシンプルな構造でここまで役に立つことに改めて驚かされました。
サビに注意
使用後は水を抜いて中を乾燥させます。
乾燥しないと中がサビます。
ただのトタンなので、濡れたままにしておけばすぐにサビます。
なんですが、これがなかなか乾かないんですよね…。
空気の通り道がお湯の注ぎ口しかないので、構造上、風通しがとても悪いです。
オモテとウラで2つにパカッと割れてくれればいいんですが、そんな構造にはなっていません。
技術的にはできると思うんですけどね…つなぎ目を牛乳パックを密閉するアレみたいなやつでロックするような感じで。
たぶん新しく開発するほどこの手の湯たんぽは需要自体が今はないでしょうからね…。
メーカー公式サイトにもサビることはあらかじめ覚悟が必要といった意思表示になってます。
サビない素材を選ぶ
サビが気になる方にはステンレス製の湯たんぽもあります。
ただ、だいぶ高いです。7000円ぐらいします。
ステンレスよりさらに強い銅製もあります。
これも7000円ぐらい。
サビには一番強いですが、銅といえばとにかく柔らかい金属というイメージがあります。
ぶつけたり落としたりしたら簡単にへこんでしまう可能性があります。
まぁ、へこんだからと言って、実用上問題ない気もしますが…。
あと、銅といえば熱伝導率が高いのも特徴ですよね。
できるだけ長時間保温してほしいこと湯たんぽにおいてこれがプラスかマイナスかといえば、マイナスのような気がします。
が、amazonレビューも見る限り、同じ心配をしていた人が問題ないと言ってるので、問題ないんでしょう。
サビの心配がないので、水を入れっぱなしにして使うことができ、毎日の手間としては地味にありがたいです。
空焚きで強制的に乾燥させる荒業
ステンレスや銅はどうにも高いので、自分は完全に乾燥させる方法を選びました。
構造上、自然乾燥では時間がかかりすぎるので、乾燥する前にサビてしまいます。
なので、空焚きで瞬間で乾かしてます。
ただ、この方法はかなり危険なので、おすすめできるものではありません。
水が入っていれば、どんなに熱しても100度以上にはなりませんが、空焚きだといくらでも温度上昇します。
でも金属なので、見た目に分からないのです。
200度300度になっても見た目は変わりませんが、触ったりしようものなら当然ヤケドします。
どれぐらいの時間熱したら何度になるのか、どれぐらいで中の水が蒸発するのかは勘に頼るしかありません。
自分は鍋で煮詰める料理を割とよく作ったり、油引いて焼くのが面倒なときに少量の水で茹でて、熱が通るころに水が蒸発するようなやり方をよくするので、その感覚がなんとなくわかるのでこの方法を取っているだけです。
とは言っても、まだ今年使い始めたばかりなので、この方法が正しいかどうかは来年ぐらいにならないと分からないです。
1年後に覚えてたら追記します。
手ぬぐいで乾燥
誰にでもおすすめできる乾燥方法はこちらの手ぬぐいを使った乾燥方法です。
手ぬぐいをタテにロール状に巻き、それを湯たんぽの中に突っ込み、半分ぐらいを外に出しておくというものです。
水分は多いところから少ないところへ移動します。
この方法で湯たんぽ内部では、本体から手ぬぐいに水が吸い込まれ、手ぬぐい内で水が少ないところ、つまり外側に向かって移動し、外側にはさらに水分の少ない空気があるので、蒸発する、という仕組みです。
電気を使わない紙の加湿器などがこの仕組みで加湿してますよね。
別に手ぬぐいじゃなくてタオルやキッチンペーパーでもいいんですが、手ぬぐいが生地が薄く、細長くできるので都合がいいというだけです。
太陽で乾燥
あとは自然の熱です。
湯たんぽを使うような季節だとあまり期待できないかもしれませんが、日中、外で直射日光に当ててれば開放空間での気化も手伝って乾燥が促進されるかもしれません。
直射日光だけで弱いなら車内に置いておくという手もあります。
これもいろいろな条件が重なり、万が一熱を持ちすぎて引火しないとは言い切れないので、あまりおすすめできる方法ではありませんが…。
水の代わりに油を使う
考えたけど怖くてやめた方法がこれです。
水ではなく、油で内部を満たす。
使用後もそのままずっと入れっぱなし。
油なので錆びることはありません。
問題は使うとき。
油なので、200度ぐらいまで簡単に温度が上がります。
いくら熱を和らげる布袋があっても、200度まで上がったらヤケドや火災の危険が十分にあります。
油温計を使ってしっかり温度管理をするのは必須でしょう。
あとは、いくら油を入れたままとは言っても、加熱時にはフタを一旦はずさないといけないので、そのときにちょっと油がまとわりつく可能性がある点がマイナスですね。
トタン製は使い捨て覚悟で
ということで、トタン製でサビを防ごうと思ったら、どれも微妙な方法になってしまうので、サビ覚悟で使うと割り切るのが無難です。
値段的にも2000円ぐらいなので、それで1シーズン使えれば十分でしょう。