- 山の怪我あるある!よくある5つのケースと対処法
- 1. 転倒による擦り傷・切り傷
- 2. 足首の捻挫
- 3. 熱中症・日射病
- 4. 虫刺され・蜂刺され
- 5. 骨折・脱臼
- 登山の救急キット、これだけは必携!
- 基本の救急キット
- あると便利な追加アイテム
- あわてないで!怪我をしたときの心構え
- 1. まずは落ち着く
- 2. 状況を正確に把握する
- 3. 同行者や近くにいる人に助けを求める
- 4. 無理はしない
- 5. 必要に応じて救助を要請する
- 怪我を未然に防ぐ!登山前の準備と注意点
- 1. 適切な装備を整える
- 2. 体力と技術を把握し、無理のない山選び
- 3. 事前の体調管理
- 4. 天候をチェック
- 5. ストレッチと準備運動
- 怪我をしたあとのケア!登山後の対処法
- 1. 傷の洗浄と消毒
- 2. RICE処置の継続
- 3. 経過観察
- 4. 適度な運動とリハビリ
- 5. 次回の登山に向けての反省
- まとめ:安全登山は準備と知識から
山での怪我は時と場所を選びません。どんなに注意深く歩いていても、ちょっとした不注意や予期せぬアクシデントで怪我をしてしまうことがあります。そんな時、適切な応急処置ができるかどうかで、その後の登山の続行や下山、さらには重症化を防ぐかどうかが大きく変わってきます。
私も何度か山で怪我をした経験があるのですが、その度に「もっと応急処置の知識があればよかった」と痛感してきました。そこで今回は、山での怪我の種類と、それぞれの応急処置方法について、実体験を交えながら詳しく解説していきます。これを読んで、いざという時の心構えを身につけてくださいね!
山の怪我あるある!よくある5つのケースと対処法
まずは山でよく起こる怪我のパターンと、その基本的な対処法を見ていきましょう。
1. 転倒による擦り傷・切り傷
山道を歩いていると、つまずいたり滑ったりして転倒することがありますよね。特に下りの急な斜面や、雨で濡れた岩場は要注意です。
転倒すると、手や膝、肘などに擦り傷や切り傷ができやすいです。軽い擦り傷程度なら大したことはありませんが、深い切り傷の場合は出血が止まらなかったり、傷口に土や砂が入り込んで感染のリスクが高まったりします。
応急処置の手順:
- まず、傷口を清潔な水で洗い流します。水筒の水やペットボトルの水で大丈夫です。
- 消毒液(ポピドンヨードなど)で傷口を消毒します。
- 清潔なガーゼや布で傷口を覆います。
- 絆創膏やテーピングで固定します。
深い切り傷で出血が多い場合は、傷口を直接強く押さえて止血します。5分以上押さえても出血が止まらない場合は、医療機関での処置が必要かもしれません。
2. 足首の捻挫
不整地を歩く山道では、足首を捻挫するリスクが高いです。特に疲れてくると足の挙げ方が雑になり、石や木の根につまずいて捻挫しやすくなります。
私が登山中に足を捻って痛みが止まらなくなったときは同行者に助けてもらいながら何とか下山しましたが、適切な処置をしていれば、もっと楽に下山できたと思います。
応急処置の手順:
- まず、患部を冷やします。氷や冷たい水で冷やすのが理想ですが、山の中では難しいかもしれません。その場合は、水で濡らしたタオルやハンカチを巻くだけでも効果があります。
- 患部を圧迫します。弾性包帯やテーピングテープで固定しましょう。
- 足を心臓より高い位置に上げて安静にします。
これらの処置を「RICE(アイス)」処置と呼びます。
- R: Rest(安静)
- I: Ice(冷却)
- C: Compression(圧迫)
- E: Elevation(挙上)
捻挫の程度にもよりますが、軽い捻挫なら30分ほど安静にして、歩ける状態になれば慎重に下山を続けましょう。重度の捻挫の場合は、無理をせず救助を待つことも検討してください。
3. 熱中症・日射病
夏山や無雪期の登山では、熱中症や日射病のリスクが高まります。私は登山を始めた頃になったことがあります。
登山を始めたばかりだったこともありますが、それ以上に人といっしょに登ったことが初めてだったことが一番の原因でした。自分のペースを保てなくなってしまったんですね。
熱中症の症状には以下のようなものがあります:
- めまい、立ちくらみ
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- 体がだるい
- 汗が止まらない、または逆に全く汗をかかない
- 意識がもうろうとする
応急処置の手順:
- すぐに日陰や涼しい場所に移動します。
- 衣服を緩め、体を冷やします。首筋や脇の下、足の付け根などを冷やすと効果的です。
- 水分と塩分を補給します。スポーツドリンクや経口補水液が理想ですが、水に塩を少量溶かしたものでも代用できます。
- 体調が回復するまでしっかり休憩します。
熱中症は重症化すると命に関わる場合もあるので、軽い症状のうちに対処することが大切です。予防としては、こまめな水分補給、帽子の着用、休憩を取ることが効果的です。
4. 虫刺され・蜂刺され
山には様々な虫がいます。蚊やアブに刺されるのはよくあることですが、中でも危険なのが蜂刺されです。アレルギー反応によってアナフィラキシーショックを起こす可能性があるからです。
山の中でスズメバチと対面したのは今まで4回です。幸い直接刺されはしませんでしたが、緊張の度合いがアブやブヨとは段違いです。
応急処置の手順(蜂刺され):
- まず、その場から離れます。蜂は攻撃性が高いので、さらに刺される可能性があります。
- 傷口に残った針がある場合は、カードなどの端でそっと取り除きます。ピンセットでつまむと毒袋を押してしまうので避けましょう。
- 患部を冷やします。
- 抗ヒスタミン軟膏を塗ります。
蜂アレルギーがある人は、必ずエピペンを持参しましょう。アナフィラキシーショックの症状(呼吸困難、めまい、意識低下など)が出たら、すぐにエピペンを使用し、救急車を呼びます。
5. 骨折・脱臼
転倒や滑落によって、骨折や脱臼をすることもあります。特に手首や足首の骨折は比較的多いようです。
幸い私はまだ山で骨折や脱臼の経験はありませんが、同行者が岩場で転倒して手首を強打し、骨折が疑われたことがありました。その時は固定もろくにできず、痛みをこらえながら下山することになってしまいました。
応急処置の手順:
- 患部を動かさないようにします。
- 骨折部位の上下の関節を含めて、添え木などで固定します。登山ストックや木の枝、雑誌などを利用しましょう。
- 腫れを抑えるために、可能であれば冷やします。
- 脱臼の場合、素人判断で無理に戻そうとするのは危険です。そのまま固定して医療機関で処置を受けましょう。
骨折や脱臼の可能性がある場合は、無理に歩かず、救助を要請することを検討しましょう。
登山の救急キット、これだけは必携!
ここまで様々な怪我の応急処置について見てきましたが、やはり適切な道具がないと十分な処置ができません。そこで、登山に持っていくべき救急キットの中身を紹介します。
基本の救急キット
- 絆創膏(大小様々なサイズ)
- ガーゼ
- 包帯
- テーピングテープ
- 消毒液(ポピドンヨードなど)
- 抗菌軟膏
- 抗ヒスタミン軟膏
- ハサミ
- ピンセット
- 体温計
- 使い捨て手袋
あると便利な追加アイテム
- 三角巾(骨折時の固定に便利)
- サージカルテープ
- 瞬間冷却パック
- 経口補水液
- 虫除けスプレー
- 日焼け止め
- 保温シート(アルミブランケット)
これらのアイテムを小さなポーチにまとめて、必ず持参するようにしています。最初は「こんなに必要かな?」と思っていましたが、実際に山で使う機会が何度かあり、今では絶対に欠かせないものになっています。
あわてないで!怪我をしたときの心構え
実際に怪我をしてしまったとき、どのような心構えで対処すべきでしょうか。
1. まずは落ち着く
怪我をした瞬間、多くの人はパニックになりがちです。でも、そこで冷静さを失うと、状況を悪化させてしまう可能性があります。深呼吸をして、落ち着くことが大切です。
私が足首を捻挫したときも、最初は「もうダメだ、下山できない」と思ってしまいました。でも、同行者に励まされて少し落ち着いてから状況を見直すと、少しずつなら歩けることがわかり、何とか自力で下山することができました。
2. 状況を正確に把握する
怪我の程度、現在地、天候、時間などをしっかり確認しましょう。これらの情報は、その後の行動を決める上で重要です。
GPSアプリなどで現在地を確認し、記録しておくのも良いでしょう。救助が必要になった場合に役立ちます。
3. 同行者や近くにいる人に助けを求める
1人で抱え込まず、周りの人に状況を説明し、協力を求めましょう。思わぬアドバイスがもらえたり、処置を手伝ってもらえたりするかもしれません。
4. 無理はしない
軽い怪我だからといって無理に行動を続けると、状況が悪化する可能性があります。十分に休憩を取り、場合によっては途中で引き返す決断も必要です。
「せっかく来たんだから」という気持ちはわかりますが、命あっての物種です。自分の体調と相談しながら、無理のない行動を心がけましょう。
5. 必要に応じて救助を要請する
自力での下山が難しいと判断した場合は、躊躇せずに救助を要請しましょう。最近は山岳救助隊の体制も整ってきていますし、ヘリコプターでの救助も可能な場合があります。
救助要請の方法は、携帯電話で110番(警察)または119番(消防)に電話するのが一般的です。ただし、山の中では電波が届かないこともあるので、事前に非常用の通信手段(衛星携帯電話など)を準備しておくのも良いでしょう。
怪我を未然に防ぐ!登山前の準備と注意点
さて、ここまで怪我をしたときの対処法について詳しく見てきましたが、やはり怪我をしないに越したことはありません。ここからは、怪我を予防するための準備と注意点について解説します。
1. 適切な装備を整える
まず何より大切なのが、適切な装備です。特に以下の点に注意しましょう。
- 登山靴:足首をしっかりサポートする登山靴を選びましょう。足のサイズにぴったりのものを選ぶことが大切です。
- ザック:背負いやすく、重量バランスの取れたザックを選びます。重すぎるザックは体のバランスを崩しやすく、転倒のリスクが高まります。
- 登山ストック:特に下りで重宝します。転倒防止や膝への負担軽減に効果があります。
- 雨具:突然の雨に備えて、必ず持参しましょう。濡れた状態で歩くと滑りやすくなります。
私も以前は装備にあまりこだわりがなかったのですが、何度か失敗を重ねて、今では山の難易度や季節に応じて装備を細かく選ぶようになりました。特に登山靴は、足に合ったものを選ぶことで、疲労や怪我のリスクが大幅に下がりました。
2. 体力と技術を把握し、無理のない山選び
自分の体力と技術レベルに合った山を選ぶことが大切です。いきなり難易度の高い山に挑戦すると、体力的な問題だけでなく、技術不足による転倒や滑落のリスクも高まります。
山の難易度は、一般的に以下のように分類されます:
- 初級:整備された登山道がある低山や里山
- 中級:ある程度の急斜面や岩場がある山
- 上級:長時間の歩行や岩場の連続、積雪期の山など
最初は初級の山から始めて、徐々にレベルアップしていくのが良いでしょう。私も最初は近所の里山から始めて、少しずつレベルを上げていきました。今では中級の山にも挑戦できるようになりましたが、それでも自分の限界は常に意識しています。
3. 事前の体調管理
登山の前日はしっかり睡眠を取り、当日の朝は十分に栄養を摂るようにしましょう。体調が優れない状態で無理に登山すると、怪我のリスクが高まります。
また、日頃からのトレーニングも大切です。ウォーキングやジョギング、筋トレなどで基礎体力を養っておくと、山での怪我のリスクが減ります。
4. 天候をチェック
登山前には必ず天気予報をチェックしましょう。雨や強風、雷などの悪天候は、滑落や転倒のリスクを高めます。特に夏山では、午後になると急に天候が崩れることがあるので注意が必要です。
雷雨に巻き込まれた経験はありませんが台風はあります。そのときは天気予報をチェックしていなかったわけではなくて、わかっていながら行ってしまったんですよね。シルバーウイークで、普段行けない山に泊りがけで行く計画を立ててたので諦めきれなかったんです。幸い大事には至りませんでしたが、山の中での自然の脅威は自宅や街なかで遭遇するそれと全く恐怖が違いますね。人間の小ささを実感するというか、何もできないから受け入れるしか無いみたいな。
5. ストレッチと準備運動
登山を始める前に、軽いストレッチや準備運動をすることをおすすめします。特に下半身(大腿四頭筋、ハムストリング、ふくらはぎなど)のストレッチは効果的です。
これにより、筋肉がほぐれて怪我のリスクが減るだけでなく、体が温まって快適に歩き出せます。私は加齢によりストレッチの習慣がつきました。若い頃は何が効いているのか実感できず、じっとしてることに耐えきれずに何度か思い立ったもののそのまま三日坊主で終わってましたが、年を取ったことでようやく実感できるようになりました。
怪我をしたあとのケア!登山後の対処法
ここまで、登山中の怪我の対処法と予防法について見てきました。でも、登山後のケアも同じくらい重要です。軽い怪我だと思っても、適切なケアをしないと後々まで影響が残ることがあります。ここでは、登山後の怪我のケア方法について解説します。
1. 傷の洗浄と消毒
下山後、まずは傷をきれいに洗いましょう。山の中での応急処置だけでは不十分な場合がほとんどです。ぬるま湯でよく洗い、改めて消毒をします。
深い傷の場合は、医療機関での処置を検討しましょう。縫合が必要な場合もあります。
2. RICE処置の継続
捻挫や打撲の場合は、下山後も RICE 処置を続けましょう。特に、以下の点に注意してください:
- R(Rest):患部を休ませます。無理に動かさないようにしましょう。
- I(Ice):氷嚢や冷却シートで冷やします。15〜20分程度を目安に、2〜3時間おきに繰り返します。
- C(Compression):弾性包帯で軽く圧迫します。ただし、強すぎる圧迫は血流を妨げるので注意しましょう。
- E(Elevation):患部を心臓より高い位置に上げて休ませます。
私も足首を捻挫した時は、下山後もこの RICE 処置を徹底しました。その甲斐あって、思ったより早く回復できた気がします。
3. 経過観察
怪我の状態を定期的にチェックしましょう。腫れや痛み、発赤が増す場合は要注意です。特に以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう:
- 高熱が出る
- 傷口から膿が出る
- 痛みが強くなる
- 腫れが著しく増す
- 動かせなくなる
4. 適度な運動とリハビリ
完全に安静にしているだけでは、かえって回復が遅れることがあります。医師の指示に従いながら、適度な運動やストレッチを行いましょう。
例えば、足首の捻挫の場合は以下のようなエクササイズが効果的です:
- 足首を上下左右にゆっくり動かす
- つま先で地面に文字を書くように動かす
- タオルを足の指で引っ張る
ただし、痛みを感じるような無理な動きは避けましょう。
5. 次回の登山に向けての反省
怪我をした原因を振り返り、次回の登山に活かしましょう。例えば:
- 装備は適切だったか?
- 体力や技術が不足していなかったか?
- 無理な行動をしなかったか?
- 天候の変化に対応できていたか?
まとめ:安全登山は準備と知識から
ここまで、登山中の怪我の応急処置から予防法、そして登山後のケアまで幅広く見てきました。最後に、安全な登山のためのポイントをまとめておきましょう。
- 適切な準備:装備、体力、技術、天候チェックなど、出発前の準備をしっかりと。
- 知識を身につける:応急処置の方法や、山の危険についての知識を事前に学んでおく。
- 無理をしない:自分の限界を知り、それを超えるような無理な行動は避ける。
- 常に注意を怠らない:景色に見とれていても、足元への注意は忘れずに。
- 仲間と協力:1人で抱え込まず、同行者と協力して安全な登山を。
山での怪我は、ちょっとした不注意から起こることがあります。でも、適切な知識と準備があれば、多くの怪我は防げるはずです。この記事で紹介した内容を参考に、安全で楽しい登山ライフを送ってください!
最後に、私からのアドバイスです。山は私たちに素晴らしい景色と達成感を与えてくれます。でも同時に、危険も潜んでいます。その危険を過小評価せず、かといって過度に恐れることもなく、適切に対処できる知識と心構えを持つことが大切です。
怪我をしないに越したことはありませんが、もし怪我をしてしまっても、慌てず冷静に対処できれば大抵は大丈夫です。この記事の内容が、みなさんの安全な登山の一助となれば幸いです。
それでは、また山でお会いしましょう!安全第一で、楽しい登山を!