一瞬で設営が完了するという触れ込みのテント・・・。
Amazonで目にするたびに気になっていました。
いろんなメーカーから出ていますが、一番売れてるメーカーでも「ANNTER」なんていう聞いたことない中華ブランドだし、4人用なのに7000円という破格の安さだし、地雷臭がものすごいです。
ただ、これまで一人でやってきたキャンプがこれから複数人になる気配があり、かといってそんな頻繁にやるわけでも確定しているわけでもないので、「ないよりあったほうがマシ」ぐらいの非常用的な4人テントが必要になりました。
ということで購入。
本当に30秒で設営できた
中には巻かれたテントと説明書とペグ。
ペグは100均レベルで、実用性は皆無です。
ただ、ペグがなくても自立するのでとりあえず問題ないです。
というかそもそもペグが必要なほど風が吹くような環境に耐えられるテントじゃないです(笑)
ということでさっそく設営していきますよ。
説明書によると全体を広げたあとに中央の支柱を立てろ、と・・・
そして内側に折れ曲がってる関節を引っ張り上げるようにすると・・・
あ、できた(笑)
これはすごい。
「30秒で設営が終わる」なんてどうシミュレーションしてもイメージがつかなかったので、中国お得意の投げっぱなしジャーマンだろうと思っていたんですが、本当に30秒で設営が完了してしまいました。
イメージとしてはワンタッチで開く傘そのものですね。
コツなど何もなく、普段からテントの設営に慣れている人限定で30秒というタイムアタックができるんだろうと思っていましたが、初めての人でも悩むことなくいけます。
支柱自体にバネが入ってるようで、ある程度手で持ち上げると勝手に「びょん!」って感じで形ができあがります。
両側入り口で通気性抜群
夏のテントの悩みはやはり通気性。
ポリエステルやナイロンは風を通さないわ、熱は蓄え続けるわで、夏のテントの室内はサウナどころじゃありません。
このテントは両側が入り口という珍しい構造になっています。
入り口ということはつまり、風を取り込める大きな開口部が両側にあるということです。
風は入り口と出口があって初めて流れます。
いくら大きな入口があっても出口がなければ風は入ってきません。
その意味でこのテントの通気性は非常に高いと言えます。
あと天井もメッシュになっていますが、風の流れを考えるとこれは通気性という意味ではそんな期待はできないと思ったほうがいいです。
また、この入口がよくできていて、アウターとメッシュの二重構造になっています。
それだけなら普通のテントでもありますが、このテントは「フルクローズ」「半分クローズ半分メッシュ」「フルメッシュ」「フルオープン」という開け方が選べるのです。
この「半分クローズ半分メッシュ」ができるテントは他に見たことがありません。
全面開けると外から丸見えで気になる、でも完全に閉じてしまうと通気性がなくなるし、圧迫感もある、なんてときに上半分だけ開けて、外の様子は見えるけど外から中は見えない、といったちょうどいい感じにできます。
フライシートだけでも使える
最大のセールスポイントであるワンタッチ機構を実現するためにいろいろなものが犠牲になってると思ったんですよ。
たとえばフライシートとインナーテントが一体化した名ばかりのシングルウオールなんじゃないかとか。
シングルウオールって普通はフライシートの防水性とインナーテントの通気性、透湿性を1枚で兼ねないといけないので、かなり高度な品質が必要になってくるものですが、7000円でそんなことができるはずないので、全く防水性がないか、全く通気性がないかのどっちかになるはずです。
しかしそんなことはなく、きちんとしたダブルウオールテントでした。フライシートとインナーテントはきちんと分離させることができます。
一体化された状態で梱包されているので、普通のテントを知らない人は気づきにくいかもしれませんが、インナーテントはフックでアウターに吊り下げられる構造にきちんとなっています。
つまり、インナーを外し、アウターのみで使うことができます。
真夏の野外フェスや海辺で使うときなど、夏の炎天下で使う場合、テントの中はかなり暑いです。
そんなときインナーをはずせば、360度全方向から風が入ってきて通気性100%、でもフライシートで日陰は作れる、という快適空間ができあがります。
4人は無理だけど3人はいけるゆとり空間
このテントは「3~4人用」とうたわれていますが、実際に試した感じでは大人4人は厳しい気がします。ぎゅうぎゅう詰めでただ寝るだけなら物理的には可能かもしれませんが、普通のキャンプでそんな極限まで切り詰めるような過ごし方はしないと思うので、3人が現実的なところです。
ただ、高さは結構あり、直立はできませんが、中で座って過ごす分には問題ありません。
ドーム型テントは構造上高さがネックになることが多いですが、このテントはそのあたり余裕があります。
設営は簡単だけど撤収はコツが必要
で、ここからがマイナスポイントです。
「30秒で設営」は嘘じゃありません。でも実は「30秒で撤収」はできないという罠があります。
付属の説明書も「上のポール二箇所を押さえつけてください」みたいなかなりざっくりした説明しかなく、無理に押さえつけるとそのまま折れて二度と設営できなくなる予感がしたので、初めて撤収するときには結構焦りました。
説明書何度見直したか・・・捨ててたら諦めてたか不良品として返品してたかもしれません(笑)
Amazonのレビューでもほとんどの方が同じ感想を投稿しています。
この説明書の文言を読んで「ああ、こういうことね」と一発で理解できる人はまずいないでしょう。
で、撤収の仕方としては天井のポールのうち2本に目印となるシールが貼られているので、その部分を内側に折るように押さえつけます。
↑この状態に戻すイメージです。
ある程度押さえつけるとそれまで外側に弓なりに反っていたポールがカクンと内側に折れます。
その2本が折れると残りの2本も連動するようにカクンカクンと折れますので、そうなったらあとはたたむだけです。
このたたみですが、普通のテントのようにきれいにたたむことは諦めたほうがいいです。
まぁ最初の梱包時点ですでにしわくちゃだったので、あきらめはつくと思います(笑)
フライシートとインナーを一緒にたたみこむ時点で無理があるので、しわくちゃ覚悟でポールをまとめていくついでにたたんでいき、最後はポールにグルグル巻きつけるイメージです。
折りたたみ傘のようなイメージですね。
収納ケースはわりとゆったり作られているので、テントにありがちなきっちり隙間なくたたまないとケースに戻せない、なんて心配もいりません。
やはり最初のポールを折るところが問題です。
強引にやったらダメなのはもちろんですが、正しいやり方でも弓なりになっているものをギャグ方向に押さえつけることには違いないので、ある程度の力は必要なのです。
なので正しいやり方をしていても、こんな押さえつけたら折れるかもと思って途中でやめてしまう人は多い気がします。
ただ、そうは言っても折れると思うほど押さえつける力が必要かというとそんなことはないので、「いやこれは折れるだろ」と思うときはたぶん力のかけ方を間違っている可能性が高いので、折れたあとの状態をもう一度イメージしてどう力をかければその状態になるかイメージしながら力を加えることが重要です。
これがどうしても文章では表現に限界があるんですが、一度体験すれば「ああ、こういうことか」と分かると思います。
防水性は皆無
あとこのテント、防水性が全くありません。
フライシートの意味あるの?と言いたくなるほどいくらでも染み込んできます。
縫製もただ塗っただけといいう感じで、防水のためのシームテープなど最初からないし、頑丈さも期待できません。
グランドシートも同様です。
というかこれグランドシートみたいに色がグレーになってはいますが、見た目だけで、普通のテントのグランドシートのような厚手の生地にはなっていません。
地面からの放射冷却だけで染み込んできそうな勢いなので、別にグランドシートを用意することをおすすめします。
少しでも雨の可能性があるキャンプには使わないほうがいいです。
最後に
防水性、強度に不安があるので、雨風がある状態で使えませんが、晴れの夏のキャンプではかなり快適に過ごせます。
設営の手間もかからないので、普段キャンプしない人でもスムーズに設営できるのは大きな魅力です。
価格に対しては十分満足できる品質だと思いますよ。