なぜmsrのバーナーを選ぶのか
msrのバーナーにはロマンがあります。
登山してる人ならこの写真を見れば「あ、見たことある。」ってなるはずです。
が・・・
ロマンはありますが、合理的なアイテムかと言われるとガスバーナーに比べて様々な点で効率が悪いです。
使う前にポンピングだのプレヒートだの儀式が必要だし・・・
ガソリンのニオイが気になるし・・・
燃費悪いし・・・
重いし・・・
と、デメリットを上げればキリがありません。
じゃあメリットはと言えば、火力が強いことぐらいですが、最近はガスバーナーの派生でジェットボイルなんかあったりして、もはや唯一の火力についてもメリットと言えなくなってる感があります。
登山、キャンプにおけるバーナーといえば10人中8人はガスバーナーを使っている現実がそのまま物語っていますが、ただ火が欲しいだけならガスバーナーで間違いありません。
しかし。
本当にただ火をつけるだけでいいんですか?
登山やキャンプをする人はそれだけでいいはずがありません。
実用性や効率性だけを求める人は最初から登山やキャンプなんてしません。
なぜ、危険を冒してまで山に登るのか。
なぜ、わざわざきつい思いして山に登るのか。
家に帰れば火力の強いコンロがあるのに、なぜわざわざ単価が高くて火力は弱いガスバーナーを使うのか。
それはそこに「ロマン」を求めてるからですよ。
手がかかるから、アナログに近いから、それを通じて得たものが普段味わえない特別なものになるんですよね。
msrのバーナーはガソリンを燃料にするのでボトルがアルミでできています。
アウトドアで使ってるうちに傷が入ったり、へコんだりしてきます。
しかし、それがかっこいいのです。
革の手帳や財布なんかも使い込むほどに味わいがでてきますが、それと同じで、使うほどに愛着がわいてくるんです。
そしてmsrのバーナーは非常にタフです。10年、20年使い続けている人も珍しくありません。
まさに「一生モノ」。
数万円するだけの価値はあります。
いくら愛着がわいても壊れてしまっては元も子もありませんが、msrのバーナーはその気持ちにしっかり応えてくれます。
ウィスパーライトとドラゴンフライ
msrのバーナーは2種類あります。
1つはウィスパーライトインターナショナル。
もう1つはドラゴンフライ。
見た目がほとんど同じなので、2種類あることを知らない人が結構多いです。
ドラゴンフライについては別記事でレビューしてますので、よろしければどーぞ。
持ってる人からすればハッキリ別物だと分かるんですけどね…。
で、似たようなものをわざわざ2つ用意するからには、それぞれ特性があるということです。
重さとサイズの違い
ウィスパーライト | ドラゴンフライ | |
---|---|---|
重さ | 309g | 401g |
サイズ | 小さい | 大きい |
重さとサイズは圧倒的にウィスパーライトインターナショナルの勝ちです。
重さは100gも差があります。
サイズは形状の都合で、具体的な数値が出せないので、折りたたんだときの印象を表現したものですが、ウィスパーライトインターナショナルの方がコンパクトです。
つまり携帯性はウィスパーライトインターナショナルに軍配が上がります。
火力の違い
ウィスパーライト | ドラゴンフライ | |
---|---|---|
火力 | 超強い | 強い |
どちらも充分強いです。
が、この2つを比べるとウィスパーライトインターナショナルの方が強いです。
ただし、ウィスパーライトインターナショナルは燃費が悪いです。
使用前の儀式(プレヒート)で使うガソリンもバカにならないです。
あと、消化するときにもガソリン使うし。
比べるとウィスパーライトインターナショナルがいいように見えますが、個人的にはウィスパーライトインターナショナルの火力は強すぎて逆に使いどころに困ります。
ドラゴンフライぐらいがちょうどいいです。
火力調整のしやすさ
ウィスパーライト | ドラゴンフライ | |
---|---|---|
火力調整 | できない | できる |
火力調整についてはドラゴンフライが得意です。
シングルバーナーによくある回転させるつまみで火力を調整できます。
じっくり煮込みたいときなどにも「とろ火」で中までしっかり熱を通すことができます。また、強火の火力は本領発揮。
伊達にガソリンを燃料にしていません。
この火力に慣れてしまうとガスバーナーがおもちゃにしか見えなくなります。
一方、ウィスパーライトインターナショナルは、そもそも火力を調整するという概念がありません。
調整するときは対象を火から離したり、網を挟んだりなど、物理的な施策が必要になります。
燃焼音の大きさ
ウィスパーライト | ドラゴンフライ | |
---|---|---|
燃焼音の大きさ | 静か | うるさい |
普通のガスバーナーに比べると基本的にどちらも音が大きいです。
が、この2つの音の大きさはかなり違います。
ウィスパーライトインターナショナルは「whisper(ささやき)」の名の通り、ドラゴンフライに比べるとかなり静かです。
…まぁ、あくまで「ドラゴンフライに比べると」ですが(笑)
ただ、得られる火力の力強さを考えると、よくここまで静かにできたなとは思います。
そして、ドラゴンフライはもうどう表現しても静かとは言えません。
かなり派手に「ゴーッwwww」となります。火炎放射器かよぐらいのレベルです。
キャンプなんかだと隣のキャンパーの様子を伺いながら使うレベルです。
寝てたりしたら、使うのあきらめます。
一応、専用のサイレンサーが別売りで用意されています。
静音効果は結構しっかりありますが、価格が7000円ぐらいするので、結構買うのに勇気がいります。
これ買うくらいならガスバーナー買ったほうがいいんじゃないの?っていう(笑)
総合的にどっちを選べばいいの?
ウィスパーライト | ドラゴンフライ | |
---|---|---|
重さ | 309g | 401g |
サイズ | 小さい | 大きい |
火力 | 超強い | 強い |
火力調整 | できない | できる |
燃焼音の大きさ | 静か | うるさい |
スペックをまとめてみました。
結論、どっちがいいのかという話ですが、キャンパーならウィスパーライトインターナショナル、登山者ならドラゴンフライがおすすめです。
キャンプは設備がリッチに揃えられるので、料理も登山中に食べるものに比べると本格的なものになる傾向があります。
そうなると強い火力が魅力です。
また、キャンプ場でのキャンプは周りの人たちとの調和が大事です。
その点において、音が静かというのは非常に重要な要素です。
一方ドラゴンフライは火力調整ができるのが強みです。
山ごはんは細かい料理が多いので、火力が強すぎるとすぐこげついたり味が飛んだりしてしまいます。
一長一短のmsrのバーナーですが、用途をしっかりイメージすれば、自然と選択肢が絞られる構成になっているので、自分のスタイルに合わせて選んでみてください。