プラティパスのソフトボトル。
これを初めて見たときの衝撃は今でもはっきり覚えています。
初めて出会ったのは2012年の6月。
まだ登山もキャンプもリア充にしか許されない趣味で、自分のような引きこもりには一生縁のない世界だと思っていた頃です。
それでもアウトドア自体には興味を持ち始めていて「なんか外でできる趣味を持ちたい」とは思っていたんですね。
そして手を付けたのがクロスバイク。意識高い系チャリです。
ただ、実際に走ってみると結局車道の脇をひたすら走り続けることになり、自然感がほとんどないのと、排気ガスをストレートに吸い続けるので、むしろ体に悪い気がして一年で終焉を迎えたわけですが…。
そんなときに出会ったプラティパスのソフトボトルは説明不要の見た目だけで「これだ!」となったものです。
なんて理にかなった形状なのかと。
そうなんですよ。
今までペットボトルや水筒など、ボトルといえば形が固定しているものと勝手に思い込んでいましたけど、固定されていなきゃいけない理由なんてないんですよね。
むしろ柔らかい方がメリットが大きいです。
飲み終わったら折り畳める合理性
なぜなら飲み終わったあとにたためるから。
飲み終わったあとのボトルはもはや荷物以外の何ものでもありません。
だったら、できるだけ存在をなくしたいと考えるのが自然です。
プラティパスのソフトボトルはたたむことでほとんど体積ゼロにできます。
水筒はもちろん、ペットボトルだっていくらつぶしたところでソフトボトルのコンパクトさとの間には超えられない壁があります。
しかもペットボトルはつぶしたら二度と使えませんからね。つぶすこと自体にも結構労力使うし。
プラティパスのソフトボトルをたたむのに力はいりません。
そして、何度でも再利用できます。
この合理性ですよ。
なんで今まで当たり前に出てこなかったんでしょうね。
そろそろ進化してもいいんじゃないアイテムの筆頭にランクインしてておかしくないのに。
ちなみにこの「そろそろ進化してもいいんじゃないアイテム」の他の候補は傘と自転車です。
毎日のようにミートアップミートアップ言ってる意識高い系の人が次々に既成概念を壊して目からうろこの発明を出し続けてるこんな時代に、これほど日常生活に溶け込んだこの2大アイテムが、未だ大正時代から変わらないスタイルというのはどう考えてもおかしいです。
まぁそれはいいとして、登山においてコンパクト性は正義です。
ボトルはソフトボトル以外に考えられません。
プラティパスじゃなきゃダメなの?
ソフトボトルがメジャー化して、はや5年。
当然、中華だの100均だのが安さで勝負してくるわけです。
じゃあ、それでよくない?って思いますよね。
ダメです。
というか、以下の点が許せるなら別にいいですけど、たぶんずっと気になるからやめたほうがいいですよ。
それで1万円とか安くなるならいいですが、数100円安くなる程度だし。
数100円のために毎回微妙なストレスを受け続けるってあまり賢い選択とは言えない気がします。
ニオイ問題
まず何よりもこれです。
ソフトボトルの一番のデメリットは素材のゴムのようなニオイが水に移ること。
飲むたびにマズイです。
どうせマズイから水道水を入れていても気にならなくなるという後ろ向きなメリットはありますが…。
プラティパスはこれがほとんど気になりません(ゼロとは言えませんが)。
が、100均や中華はどんなに洗おうが、天日干ししようが、時間が経とうが、そのニオイが消えることはありません。
もうこの1点でノーブランド品を選ぶ理由はありません。
飲み水がマズイって致命的ですからね。
フタ紛失問題
ソフトボトルの第二の問題、それはフタ紛失問題です。
ペットボトルのフタのような形をしていて、割と簡単になくします。
特に自宅で洗ったあとは、乾燥させるためにフタを開けたままにするために別で保管するので、1週間ほったらかしにしていて週末にいざ使おうとすると大体神隠しにあってます。
だったらペットボトルのフタ適当に代用すればいいじゃんって思いたくなりますが、これが合わないんですよね。
とりあえず百均の類似品は全然ダメでした。
実はプラティパスもこの問題を抱えています。
フタの直径は同じなので、一応閉まるんですが、フタのスクリューのピッチが違うので、微妙に噛み合ってないんです。
なんらかの衝撃で簡単に緩みますし、水漏れも起こります。
この問題に正面から向き合ったのがアルコールストーブで有名なエバニューのソフトボトル。
ペットボトルのフタがそのまま使えます。
それだけで十分なんですが、エバニューのすごいのはフタをバンドで固定させる方式にしたこと。
これならフタをなくす心配がありません。
この二重の守りのおかげでエバニューのソフトボトルにおいてはフタ問題は完全に解決されました。
さらにこのバンド、飲み終わったあと、ボトルをたたんだあとの固定具としても使えるのです。
もう十分って言ってるのにさらにたたみかけるこのハングリー精神はバナナのたたき売りに通じるものがあります。
意味がわからない?
いや、バナナのたたき売りって別にバナナとかそのへんのスーパーで買ったほうが絶対安いじゃないですか?
でもあのタンカの歯切れの良さに惚れてお金を出したくなるわけじゃないですか?
エバニューのこのたたみかけてくるスペックも似てるなぁって。
そういうことですよ(謎)
なかなか乾燥しない問題
そしてソフトボトル第3の問題は、なかなか乾燥しないことです。
空気の通り道的にはペットボトルと理論上同じはずなんですが、材質の違いなのか、洗ったあと一週間たっても普通に濡れたままです。
最悪カビが生えます。
ペットボトルに比べると口まわりや両サイドの接着面や底面など、菌が繁殖しやすい箇所があるんですよね。
ただ、プラティパスはビッグジップモデルですでにこの問題をクリアしています。
このモデルは底面がジップロックのような構造になっていてガバっと開くことができるのです。
水分の補給も簡単、洗うのも簡単、乾燥などさせなくても布巾で直接拭き上げることができます。
そんな構造だとちょっと衝撃与えたらブシャってなるんじゃないの?と心配したくなりますが、専用器具でしっかりロックできるので心配無用です。
ただ、このモデルの難点はハイドレーションモデルしか用意されていないこと。
点滴のようなホースで飲むアレです。
なぜ普通のソフトボトルでこのタイプを用意してくれないのか理解に苦しみます。
ということで通常のタイプにこだわりたい場合、ビッグジップ以外の方法になるわけですが、まず洗うことに関しては専用のクリーニングキットが用意されています。
が、これに関してはわざわざこんなの買わなくても洗剤とかした水でバシャバシャ振れば十分だと思います。
問題はやはり乾燥ですが、これについて先人の智慧がすでにあります。
それは手ぬぐいを刺して干すこと。
手ぬぐいがボトル内の水分を吸って、手ぬぐい全体から吸った水分を蒸発させることで圧倒的スピードで中を乾燥させることができるのです。
その早さ、なんと2時間!
単純な乾燥の84倍の早さです。
赤い彗星もびっくりですね。
飲みにくい問題
最後の問題は飲みにくいこと。
飲むための道具が飲みにくいって致命的な気がしますが、ソフトボトルはソフトなのでとにかく飲みにくいのです。
一度飲んでみたらわかります。
普通の水筒のように片手でもって口まで持ち上げるとグニャッと曲がって狙いがはずれ、顔やら体やらがびしょ濡れになること間違いなしです。
こればかりはソフトボトルの宿命と言うしかありませんが、例によってエバニューはどうにかこうにかがんばっています。
それはくびれを作ること。
プラティパス含め、ソフトボトルは基本的に寸胴なんですが、エバニューだけはボトル中央にくびれを設けています。
これにより片手で持ったときに収まりがいいのです。
最後に
ということでもうお分かりかと思いますが、ソフトボトルにおけるベストバイはプラティパスではなくエバニューです。
見た目が中華な安っぽいのは愛嬌として、実用性はソフトボトル業界(?)でダントツです。
単純に便利にしようと思って作ったというより、先駆者のソフトボトルへのユーザーの要望に真正面から向き合った感にあふれています。
価格も1000円以下と安いので、これを選んで失敗したと思うことは少ないと思いますよ。