キャンプと違う!山のテント選びはここが大事!

山に登って、山頂からの絶景を眺めてくつろぐ…。
それだけでも充分満足ですが、そのまま泊まって夜の景色、朝の景色も見ることができたらステキだと思いませんか?
山で泊まるのにまず必要なのがテント。
登山に使うテントは普通のキャンプのテントとはまた違ったポイントを抑えて選ぶ必要があります。

もうちょっと登山に慣れたらテント泊してみたいです。
テント泊はぜひしてほしい。
夕方の景色、夜の景色、早朝の景色、そしてまた昼…この当たり前の自然のサイクルを五感で感じることで自然のスケールを感じることができるぞ。
日常で毎日感じているはずなのに、それとは全然別物だ。
また、普段は登頂したあとの休憩がてら簡単に済ませる山ごはんも時間がある分、いろいろこだわりの幅を広げることができる。
テント張って、中に入るだけでもテンションMAXです!
テントってなんであんなにワクワクするんですかね。自分だけの秘密基地って感じ。
山のテント泊にはいろいろ抑えておきたいポイントがあるが、今回はテントにフォーカスしてポイントをまとめてみよう。

何よりまず「軽量・コンパクト」

テントと言っても普通のキャンプと山のテントではこだわるポイントに決定的に違う点がある。
それは「軽さ」だ。
他の道具でも登山用になると大体そうなりますね。
「登山=軽さ」みたいなところがありますよね。
テントでもそれは例外じゃないってことか…。
普通のキャンプだと現地まで車移動がほとんどだから重さを気にする必要はあまりない。
それよりも広さや居住性や耐久性を重視する。
登山では自力で、しかも山の上まで運ばなければならない。
当然、普段登山で必要な荷物はテント泊でも必要だ。
普段の荷物に単順にテント泊に必要な荷物が上乗せされる形になる。
また車のように広い荷室はなく、ザックという限られたスペースに詰め込むから、軽さだけでなくコンパクトさも重要だ。
普段以上に荷物の重さに気を配らないといけないってことですね。
どれぐらいの重さならいいんですか?
一人用のテントなら目安は1kgから2kg。
2kg、3kgを超えると初心者にはかなりこたえる重さに感じるだろう。

一人で使うのに二人用?

ザッと一人用のテントを見てみると大体それぐらいの重さには収まっているみたいですね。
ここで1つオススメしたいのが一人で使う想定でも「二人用」を選ぶことだ。
え?一人なのに二人用?
テントに記載の対象人数はかなりギリギリの想定だ。
一人用のテントを一人で使うのは「できないことはないが快適とは言えない」感じになる。
ツェルトのようにただ寒さをしのげて寝ることができればいい、ぐらいの割り切りができるなら構わないが、遭難でもしない限りそんなストイックな状況を好むケースは少ないだろう。
荷物もテントの中に入れておくのと外に放置するのとでは物理的にはあまり変わらなくても精神的にはだいぶ違う。
二人用のテントならそのあたりをシビアに考えなくて済む。
そもそも二人用と言ってもそんなに広いわけじゃない。
初心者が何も聞かされずにそのテントに入ったら普通に一人用だと思うレベルだ。
価格が2倍ぐらいになるんじゃ…
では同じモデルの一人用と二人用を比べてみよう。
まず一人用。
次に二人用。
あれ? 2千円ぐらいしか変わらない?
そう。使い勝手が大きく変わるわりにはあまり価格は変わらない。
一回しか使わないならまだしも数年は使うものと考えればそれぐらいは投資しない方が損と言っても過言じゃない。
一人分増えるわけだから大きさはさすがに変わるかなと思いましたが、これもそうでもないですね。
収納時のサイズは1cm違うかどうかというレベル。
重さも100グラム程度だ。
少なくとも体感で分かるレベルにはない。
それで実際の使い勝手は目に見えて変わるなら確かに二人用がだいぶおトクですね。

フライシート有りか無しか

次にフライシートの有無。
フライシートを使うダブルウォールタイプと使わないシングルウォールタイプがある。
フライシートってなんですか?
防水のシートで、テントにかぶせるシートだ。雨を防いだり、寒気を防ぐ役割がある。
普通のキャンプのテントはフライシートがあるのが当たり前だが、山用のテントでは一枚でインナーとフライシートを兼ねるタイプがある。
2枚分が1枚で済むため、大きな軽量化・コンパクト化になるのがメリットだ。
じゃあ、それでいいんじゃないですか?
一長一短だ。
フライシートとインナーテントは特性に相反する点が多いため、1つで兼用するとどうしても無理が出る。
フライシートは防水が第一の目的だが、基本的に防水のためには通気性が犠牲になる。
しかしインナーテントは中が蒸れないよう、通気性に配慮されることが多い。
フライシートとインナーテントはその点では真逆の特性を持っているんだ。
もちろん近年のレインウェアなどで分かるように、防水と透湿性を兼ねた素材はある。
が、それでもそれぞれの特性に特化した素材との間には超えられない壁がある。
軽いし、設営がラクそうだし、初心者はシングルウォールのほうがいいのかな。
逆だ。
軽量化のためにいろいろ切り詰めたのがシングルウォールテント。
メリット、デメリットをしっかり理解して使わないと、単純に使いにくいだけのテントになる。
具体的にどんなデメリットがありますか?
大きく2つ。
「結露に苦しめられる」
「前室がない」
前室ってなんですか?
テント入り口にフライシートがかぶさることでできる空間だ。
インナーテントの外だが、屋根がある。玄関のような役割を果たす。
テントの中と何が違うんですか?
室内には置きたくない。でも外に放置もしたくない、というものがあるだろう。
たとえば登山靴。
靴を室内に入れるのは精神的に抵抗がある人が多いし、実際に土や砂で汚れると気持ちのいいものじゃないだろう。
かと言って外に放置すると、雨が降ればびしょ濡れだし、雨が降らなくても山の中で一夜を越すと夜露で結局びしょ濡れだ。
あとは靴を履くための空間としても役に立つ。
それぐらい外に出て履けばいい、と思うかもしれないが、意外とこの差は大きい。
あとは結露?
うーん。なんか前室も結露もそんなに大きな問題じゃないような気もするけどなー。
登山靴は袋に入れればいいし、結露はタオルとかで拭けばいいし。
確かにそうだが、実際にそれを体験すると、思った以上に面倒だったり不快だったりすることを痛感するだろう。
それを体感した上でガマンできるというなら問題ないが、特にテント慣れしていない初心者にはこれらは結構大きな障害と考えたほうがいい。
うーん、そう言われるとそうかも…。
シングルウォール使って、隣のダブルウォールテントで何の苦労もなく快適に過ごしてる人を見ると「なんで自分だけ…」ってなって結局ダブルウォールに変えそう。
シングルウォールは価格も高いので、失敗したときのダメージが大きいというのもある。
テントに限ったことじゃないが、まずは基本を覚えてから、自分の本当に欲しいポイントを理解して、それからそのポイントに特化したものにステップアップするのが、納得しやすいルートじゃないかな。
わかりました!

自立式と非自立式

あと、テントには自立式のものとそうでない非自立式のものがある。
普通のテントは自立式だ。
テントの部品を一通り組み立てるだけで居住空間ができあがる。
しかし、軽さを追求する登山用テントではテントの支柱は大きな荷物になる。
これを省略して、トレッキングポールなどで代用してしまおうというのが非自立式テントだ。
テント自身の部品だけではテントの形を成さない。
トレッキングポールの他に張り綱やペグなど他の道具のサポートがあって初めて成立する。
またストイックな…。
なんか雰囲気がシングルウォールテントと似てますね。
そうだな。快適さよりも登山に適した軽量・コンパクトをとにかく追求する点で似ているかもしれない。
それだけ切り詰めているから圧倒的に軽い。
1kg以下のものも多い。
使いこなせるとかっこいいけど、私にはまだ早いかな…。
まぁ、実際登山をしていてこのタイプを見ることはほとんどないな。
割合的には1割いるかどうか。
初心者だけでなく、ベテランでも自立式を好む人は多い。
登山でのテント泊は設営する場所が毎回大きく変わる。
ゴロゴロの岩場や、ぬかるんだユルい地面のだったりするとペグが使えないこともある。
ペグ頼みというのは案外リスクが大きいんだ。

入り口の向き

入り口の向きはしっかり考えて選んでおきたい。
え?入り口に向きなんてあるんですか?
登山用のテントは基本的に長方形だが、長辺側に入り口があるものと、短辺側にあるものとがある。
あ、なるほど。
でも、それにどういう違いがあるんですか?
まず長辺側に入り口があるタイプだが、開口部が広く取れるので、出入りしやすいのがメリットだ。
開放感があるので、テントの中から外を眺めてくつろぎたいときなんかにはいいな。
通気性がいいので、結露も比較的抑えやすい。
しかし、風の影響を受けやすく、強風に煽られると危険なこともある。
また、構造上、前室が狭くなりがちだ。
短辺側はメリット、デメリットがそれぞれ逆になる。
快適なのは長辺側…だけど、強風のときとか、危険なときに強そうなのは短辺側に入り口があるタイプ…ってことか。
うーん、これは悩みますね。
危険に備えるのは大事だが、強風を受けやすい場所、受けにくい場所は設営する場所を選ぶことで、ある程度回避することもできる。
2000メートルを超える本格的な登山になるともっとシビアに考える必要もあるだろうが、とりあえず1000メートル前後の低山なら快適さを優先してもいいかもな。
まぁ考えてみてくれ。

メルヘンチックなワンポールテント

変わったところで、ワンポールタイプというのがある。
モノポールとかティピーテントと言ったりもする。
あ、かわいい!
童話の世界に出てくるテントみたい!
ワンポールテントは、その名の通りポールが一本だけ真ん中に立てて、周りから張り綱を引くことで空間を作るタイプのテントだ。
構造がシンプルなので、設営がラクなこと、多くのペグで固定するため、きちんと固定すれば風に強いメリットがある。
頂点が1点しかないので、周りからの圧迫感があることがデメリットかな。
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公開日:2017.2.28
更新日:
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