当分は1000メートル以下の低山しか行かないから、アルプスみたいな雪山登るわけでもないし別にいいかなって。
それは登る山のレベルに関係ない。
むしろ、低山だからとタカをくくった結果、高い山以上に遭難率が高くなることもあるほどだ。
遭難のケースで一番多いのは「道迷い」だ。全体の4割を占める。
一本道と思っていても実はちょっとした脇道は低山のほうが多い。
林業の作業用の道、けものみち、旧登山道など。
少し焦るだけでギャグのような判断をする
僕もいまだに1000mクラスの低山しか行ってなくて、どの山もふもとから山頂まで一本道のイメージしかないので、迷うことなんてないとどこかで思っていました。
でもこの2年だけでも道を間違えて、しばらくルートを外れるなど、軽い道迷いになったことは何度かあります。
一番多いのは、行きは一本道だけど帰りは分かれ道になっている場合です。
登山の経験がないとそんなことあるの?と思うかもしれませんが、わりと頻繁にあります。
Y字路をイメージしてください。
登るとき「Y」の字の上側のどちらから来た場合、逆側の分岐は意識することなく進みます。
しかし、同じ道を戻ってくると、目の前に2つの分岐があることに気づくのです。
あらかじめ分岐を認識していないとどっちから来たか判断するのはかなり厳しいです。
慣れてくると道が合流した時点でどっちから来たかそのとき覚える習慣ができてくるのですが、最初は当たり前のように通り過ぎて帰りに焦るのがお約束です。
そして焦ると、判断力が低下します。
平常時にはありえない判断を簡単にします。
たとえば下の写真を見てください。
沢に丸太がかかっています。
どうやって沢を渡りますか?
浅いからそのまま沢の中を歩いていきますよね。
ところが少し焦るとどうなるか。
この丸太の上を渡らないといけない、なんて発想が先に来るんです。
もはやギャグですよね。でも焦るとそうなるんです。
そんな無理難題に対してまた焦る気持ちが強くなるんです。
そんなことを何回か繰り返すと、確実に来た道を戻ろうと思っているのに歩いたことのない別の道に入るなんて奇行を平気で起こします。
あと、間違えた道がそれなりにちゃんとした道だった場合も危ないです。
どっちの道か迷ったとき、「少し行っておかしかったら戻ってこよう」ぐらいの心構えは誰でも持ちます。
が、行ってみると「おかしくない」場合が多いのです。
来たことない道だけど、それなりにちゃんとした登山道。そうなると「これはこれでそのまま行っても最終的に下山できるんじゃ?」と思ってしまうのです。
分からない道を歩いている時点で少し焦ってるので、心理的には「分かる道まで戻ろう」という気持ちより「とにかく早く帰りたい」気持ちが優先しがちです。
そうなると、「戻る」ということをしなくなります。一秒でも早くゴールしたくて、それから遠ざかるようなことはしたくないのです。
帰り道だと日も傾き始めていることが多く、残された時間がないように思い、それもまた焦りを加速させる原因になります。
このように、最初はちょっとの焦りだったのに、そこから小さな負の連鎖がつながって、気持ちの余裕がなくなっていき、当たり前に下山できたはずなのに道を間違えたり、ほんの数メートルでもショートカットしたくなり、ムリな体制になって足を滑らせたり。
意識して見るとわかりますが、1000mクラスの低山でも足を滑らせたら登ってこれないような斜面はわりと普通にあります。登ってこれないだけで済めばいいですが、足を折ったり捻挫したりする可能性は充分あります。
そうなるともう動けません。
迷っていなくてもその時点で遭難確定です。
低山でも遭難の可能性は充分ありえるということ、多少は伝わったでしょうか。
判断力は弱くなるだろうし、体も若い頃に比べて弱ってるだろうし。
とにかくこの統計から見て言えることは遭難の原因の大半は「山をナメてる」気持ちが起こしていると言える。
最初から迷うことを想定して、地図やコンパスをきちんと使っている人が迷うケースはあまり聞いたことがない。
「このくらいの山なら地図なくても迷わないだろう」とナメてる人間が迷うんだ。
低山だから大丈夫なんて心持ちは遭難候補の筆頭だと言っても過言じゃない。
遭難したらどういう展開になるか想像できるか?
が、山の遭難となると警察だけでは人手が足りない。
遭難は時間との戦いでもある。
1人で100時間探すより、100人で1時間探す方が救助できる可能性が高いのは言うまでもないだろう。
民間の捜索隊などと連携して捜索することが多い。
そしてその場合は規模、時間に応じて捜索費用がかかる。
数パーセントだと10人ぐらいとして…10人かける3万円…1日30万!?
山だと捜索にヘリコプターを使うことも多い。
ヘリコプターは3時間で150万円かかる。
さっきの話で遭難はわりと簡単に起こりうることがわかっただろう。
つまり、200万円払う事故が比較的簡単に発生するということだ。
そんなリスク背負って登山楽しめるか?
まず、登山のレベルで大きく2つに分かれる。
「ハイキングレベル」か「本格登山」か、といったイメージだ。
前者は適用範囲が限られる代わりに保険料が安い。後者は保険料が高い代わりにしっかりサポートしてくれる。
ハイキング | 本格登山 | |
---|---|---|
保険料金 | 安い | 高い |
サポート | 少ない | 手厚い |
登山の度に単発で契約するタイプと、年間など一定期間契約するタイプだ。
ツアーなどではその時だけ登る人もいるから前者が多い。趣味で登山を続けるために契約するなら年間契約がいいだろう。
トータル費用が抑えられるのはもちろんだが、何より「加入忘れ」が防げる。
単発契約 | 期間契約 | |
---|---|---|
1回の支払い | 安い | 高い |
トータルの支払い | 高い | 安い |
【モンベル 野あそび保険】
【ドコモ ワンタイム保険】
【Yahoo ちょこっと保険山大好きプラン】
【三井住友VISAカード ポケット保険トレッキングコース】
【ソフトバンク スポーツ・レジャー保険】
野遊び保険 | ワンタイム保険 | ちょこっと保険 | ポケット保険 | スポーツ・レジャー保険 | |
---|---|---|---|---|---|
救助費用 | 300万円 | 200万円 | |||
対象外 | 山岳登攀、クライミング | 競技中の事故、山岳登攀、クライミング中の事故、航空機操縦、ボブスレー、スカイダイビング、ハンググライダー登場中の事故 | |||
スパン | 1日 | 1日 | |||
保険料 | 250-500円 | 590円 | |||
月額(週あたり1回契約と仮定) | 2000円 | ||||
備考 | 携行品損害補償を削れば250円 |
【モンベル 野外活動保険】
【レスキュー費用保険】
【日本山岳協会 共済会】
【日本山岳救助機構会員制度(略称「jRO(ジロー)】
jRO | モンベル登山保険 | 日本山岳協会共済会 | レスキュー費用保険 | YAMAP登山保険 | |
---|---|---|---|---|---|
救助費用 | 330万円 | 500万円 | 300万円 | 300万円 | |
対象外 | ・登山以外の事故 ・既往症による遭難 |
・山岳登攀 | ・登山以外の事故 ・海外の事故 |
・海外の事故 | |
スパン | 1年 | 1,3,5年 | 1年 | 1ヶ月,1年 | |
月額 | 166円 | 244-2578円 | 500-1850円 | 333円 | 4950-18250円 |
年額 | 2000円 | 2930-30940円 | 4000円 | 4950-18250円 | |
備考 | 会費以外に入会金、事後分担金が必要 | 時間による適用範囲(就業中除外か24時間か)も選択可能 |
もっと何万円もかかるかと思ってた。
さらに登山保険と言っても日常生活のケガなども保証範囲に入っているものもあるから調べてみるといい。
逆にすでに加入している損害保険でサポートされている部分を登山保険の補償範囲から外すことで費用が抑えられることもある。
そのあたりは自分が加入している保険と見比べながらうまく選んでくれ。
・保険期間(どの期間にいくらまで何回まで保障されるか)
・他人への損害保障
日常でも使えるものがおすすめ
宣伝みたいになりますが、僕は「Yahooちょこっと保険」に入っています。
月340円と最安でありながら、救援車費用(捜索費用)は500万円まで補償されます。
さらに、登山に限らず、日常のケガ、入院、携行品損害、個人賠償までサポートされます。
冬は登山ではなくスノーボードをするのですが、スノーボードの怖いのは他人をケガさせるリスクが高いことです。
この保険ならそれもサポートされます。
また、登山には一眼レフを持っていくのですが、これが壊れたときにもこの保険でサポートできます。
注意しないといけないのは、「山岳登攀」は保険の対象外となることです。
つまり、ピッケルやアイゼンを使うような本格的な登山はサポートされません。安価な保険はこのパターンが多いのでこの点は確実にチェックするようにしましょう。
とは言っても僕の登山ではそんな本格的な登山は当分予定はないので問題なく、実際に2回ほど保険を使いたい場面がありましたが、どちらもしっかりサポートしてもらい、改めて保険のありがたみを実感しました。
保険は本当に大事ですね。