登山保険jROの特徴
登山保険の重要さがよく分かったところで、各社の登山保険を1つずつ掘り下げていこう。
周りの登山してる人たちの話聞いてるとジローっていう保険をよく聞きます。
jROは「日本山岳救助機構合同会社」が提供する登山保険だな。
登山保険といえば一番メジャーと言っても過言じゃない。
保険のことよくわからない、いろいろ考えるのが面倒などという場合でも、とりあえずこれに入っておけば大きな問題はないだろう。
登山保険といえば一番メジャーと言っても過言じゃない。
保険のことよくわからない、いろいろ考えるのが面倒などという場合でも、とりあえずこれに入っておけば大きな問題はないだろう。
jROの特徴:費用が安い
他の登山保険と比べてどんな違いがあるんですか?
登山保険は1日契約と年間契約があることはこの前の講義で分かったな?
jROは年間契約タイプに当たるが、このタイプの費用としては安いのが一番の特徴だ。
jROは年間契約タイプに当たるが、このタイプの費用としては安いのが一番の特徴だ。
信頼ある登山保険なのに一番の特徴が費用の安さって意外ですね。
で、いくらぐらいなんですか?
で、いくらぐらいなんですか?
基本料金は2,000円だ。そして、これがjRO独特のシステムなんだが、それに加えて事後分担金という追加費用が必要になる。
事後分担金?
なんかお布施的なニオイがするんですが大丈夫ですか…?
「タダより高いものはない」的な…。
なんかお布施的なニオイがするんですが大丈夫ですか…?
「タダより高いものはない」的な…。
この事後分担金は前年に実際に救助費用としてjROが負担した金額を元に決められる。
その金額が基本料金だけで足りない場合に、超過分を会員全員で均等に負担するシステムだ。
その金額が基本料金だけで足りない場合に、超過分を会員全員で均等に負担するシステムだ。
あ、なるほど。
どこかのアコギな商売みたいに何かと理由つけて余分にお金取るみたいな感じじゃなくて、ちゃんと実際にかかった費用から計算されるんですね。
どこかのアコギな商売みたいに何かと理由つけて余分にお金取るみたいな感じじゃなくて、ちゃんと実際にかかった費用から計算されるんですね。
そうだ。
その意味では多くの会員が同じ年に一斉に遭難すると、この事後分担金が跳ね上がることになるが、少なくとも過去10年の実績を見る限り、その心配はない。
その意味では多くの会員が同じ年に一斉に遭難すると、この事後分担金が跳ね上がることになるが、少なくとも過去10年の実績を見る限り、その心配はない。
事後分担金 | |
---|---|
2018 | 500 |
2017 | 500 |
2016 | 500 |
2015 | 600 |
2014 | 800 |
2013 | 700 |
2012 | 700 |
2011 | 600 |
2010 | 800 |
2009 | 900 |
1000円を超えたことがないんですね。
毎年数100円ぐらいの調整幅なら安心して良さそうですね。
毎年数100円ぐらいの調整幅なら安心して良さそうですね。
余裕を見て1000円として、基本料金と合わせて年間3000円と思っておけばいいだろう。
jROの保障内容
費用が安心価格なのは納得しましたが、実際の保障内容はどうなんですか?
メインとなる捜索・救助費用は330万円まで保障する。
うーんなるほど。
費用を考えると当然ですが、やっぱりギリギリのラインにはなりますね…。
費用を考えると当然ですが、やっぱりギリギリのラインにはなりますね…。
金額だけ見ると少々心もとないのは否めないが、保障対象範囲が広いのがありがたい。
jROは山で起こった事故は全て対象だ。
jROは山で起こった事故は全て対象だ。
それは心強いですね。
救助費用は高くても、アイゼンピッケルを使った山岳登攀は対象外だったり、病気によるトラブルは対象外だったりする登山保険は珍しくないですからね。
救助費用は高くても、アイゼンピッケルを使った山岳登攀は対象外だったり、病気によるトラブルは対象外だったりする登山保険は珍しくないですからね。
いくら登山保険に加入していても、実際に遭難したときに対象にならなければ何の意味もない。
また、対象外の事項というのは往々にして契約書に小さい文字で法律の文書みたいに書いてあり、よく理解しないまま加入しているケースも多い。
「山で起こった事故全部」と単純明快なのは保障の確実性に安心できると同時に、「あれはだめ、これはOK」などとごちゃごちゃ考えなくていいメリットもあるんだ。
また、対象外の事項というのは往々にして契約書に小さい文字で法律の文書みたいに書いてあり、よく理解しないまま加入しているケースも多い。
「山で起こった事故全部」と単純明快なのは保障の確実性に安心できると同時に、「あれはだめ、これはOK」などとごちゃごちゃ考えなくていいメリットもあるんだ。
加入するときは地味であまり意識しない部分ですけど、実際に遭難したときのことを考えると一番大事な部分ですよね。
超過費用分を会員全員で負担するシステムは、必然的に各会員が遭難しないように意識を高めることにもつながる。
そのまま自分に返ってくるわけですからね。
お金のためというと聞こえが悪いですが、何にしても遭難しないのが第一ですもんね。
お金のためというと聞こえが悪いですが、何にしても遭難しないのが第一ですもんね。
遭難の未然防止といえば、jROの特典の1つとして、都岳連という組織と連携した遭難防止の講習会などを受けることもできるぞ。
それもありがたいですね。
普通にお金払って受けようと思っていたし、それだけでも加入する価値がありますね。
普通にお金払って受けようと思っていたし、それだけでも加入する価値がありますね。
jROの注意点
定番登山保険のjROだが、もちろん注意点はある。
それは保証内容が基本的に捜索・救助費用だけということだ。
あと死体搬送費用や、関係者駆けつけ費用なども補填してくれるが、かなりピンポイントな費用ではあるな。
それは保証内容が基本的に捜索・救助費用だけということだ。
あと死体搬送費用や、関係者駆けつけ費用なども補填してくれるが、かなりピンポイントな費用ではあるな。
逆に他に必要な費用ってありますかね?
救助されても病気になったり、凍傷になったり、怪我をしたりすれば入院、通院費用が必要になる。
また、他人を巻き込めば個人賠償費用も必要になる。
他に、遭難中に携行品などを破損すればそれを買い換える必要もあるだろう(携行品損害)。
jROではこれらの費用は一切補填されない。
また、他人を巻き込めば個人賠償費用も必要になる。
他に、遭難中に携行品などを破損すればそれを買い換える必要もあるだろう(携行品損害)。
jROではこれらの費用は一切補填されない。
ああ、なるほど。
でも元々登山保険に入る目的って「遭難から救助されるため」であって、それ以外の費用ってまた別の話だからなぁ。
でも元々登山保険に入る目的って「遭難から救助されるため」であって、それ以外の費用ってまた別の話だからなぁ。
そのとおり。その割り切りができる人にはjROは適した登山保険だ。
それらを補填したいなら別の登山保険を並行で加入してもいいわけだしな。
それらを補填したいなら別の登山保険を並行で加入してもいいわけだしな。
捜索・救援者費用以外の補填対策
さっき言った費用を補填できる登山保険だとどんなのがいいですか?
費用が抑えられるのがjROのメリットの1つだからあまり他の登山保険に費用かけすぎると本末天皇な気も…。
費用が抑えられるのがjROのメリットの1つだからあまり他の登山保険に費用かけすぎると本末天皇な気も…。
それなら短期補償の保険を組み合わせるといいだろう。
たとえば「モンベル野遊び保険」。1泊2日で500円だが、入院費用、手術費用、個人賠償、携行品損害は全て補償される。
また、救援者費用も300万円まで補償される。
たとえば「モンベル野遊び保険」。1泊2日で500円だが、入院費用、手術費用、個人賠償、携行品損害は全て補償される。
また、救援者費用も300万円まで補償される。
それなら心配していた費用が一通り補償されそうですね。
ただし、これは適用外のケースがある。
アイゼン、ピッケルを使うようなハイリスクの山岳登攀は補償されないから、分かった上で利用するように。
アイゼン、ピッケルを使うようなハイリスクの山岳登攀は補償されないから、分かった上で利用するように。
山岳登攀まで補償してくれる安い保険ってないんですか?
同じモンベルで「モンベル山行保険」というのがある。
費用は2000円と高くなるが、これならjROと同じで「山の事故」全て対象と考えていい。
費用は2000円と高くなるが、これならjROと同じで「山の事故」全て対象と考えていい。
捜索・救援者費用の強化
あとはメインの捜索・救援者費用が330万円というのはやっぱりちょっと不安だなぁ…。
それを強化するなら「ココヘリ」の加入を進める。
年間3650円、1日あたり10円だが、登山保険と違ったアプローチがおもしろい。
登山保険のように費用を補填することよりも「とにかく早く救助する」ことに重点を置いたサービスだ。
年間3650円、1日あたり10円だが、登山保険と違ったアプローチがおもしろい。
登山保険のように費用を補填することよりも「とにかく早く救助する」ことに重点を置いたサービスだ。
これはすごく説得力のあるサービスですね。
登山保険に限らず、入っておきたいです。
登山保険に限らず、入っておきたいです。
最後に
別の登山保険記事でも重ねて言っていますが、山の遭難は年間2000件以上起こっており、「もしものために」「万が一」といった表現で済まされるレベルではありません。
また、自分は死んで終わりだとしても残された周囲の人たちが後処理で費用だったり手続きだったりで大きな負担を強いられることになることを忘れてはいけません。
登山という危険と隣り合わせのレジャーを楽しむ以上、登山保険は必須マナーの1つと考えたほうがいいでしょう。